日記

志望動機と自己一致

本日は、札幌の事務所に私の娘がやってきました。

娘は高校3年生で、受験に向けての勉強を事務所で行うことがありました。
しかし今回訪れた目的は、勉強ではなく大学の志望動機を見て欲しいということでした。

志望動機の基本的な書き方は高校で教わったようでしたが、「将来自分が社会に出た時の自己アピール」をどのように書いたら良いかわからないので私の意見も聞きたいとのことで、一生懸命書いたものを私に見せてくれました。

まずは、娘が受験する大学で何を学び、何のためにその分野を学びたいのかということをヒヤリングしたところ、「自己表現」と「基礎」という言葉が良く出てきました。

頻繁に出てくる言葉ということは娘にとって重要なことだと思いましたので、この2つの言葉をベースに、自分の想いを素直に書き綴るところから始めていこうと提案しました。

その話し合いの中で志望動機だけではなく、面接時の受け答えの話題になりました。
「なぜ一般受験ではなく、推薦受験をするのか?」という質問があった時、どのように答えるか娘に聞いてみたところ、このような回答が返ってきました。

「なぜ〇〇大学を推薦で受験するのかというと、私は想いを言語化することが苦手なので、推薦受験での面接などで自分の想いを言語化することで成長に繋がると考えたため、推薦受験をすることにしました。」

正直、私はこの回答にとても違和感を感じました。
娘とは普段からもよくいろいろなことを話す方ではあるのですが、今までそんなことを言ったことはなかったな…と思い、それは本当の理由なの?と尋ねると「本当は推薦で受かったらすぐにアルバイトをして、お金を貯めたいからなんだ」と本当の理由を教えてくれました。

本当の理由

なぜ本当の理由を言わないの?と尋ねると、「受験の面接なのに、早くアルバイトをしたいからなんて答えたら印象が悪いと思って…」とのこと。
私は、アルバイトをしたいから早めに受験を終わらせるということが、一概に印象が悪くなるとは思えませんでした。そして、きっとまだ他に理由があるのではないか思い、娘の気持ちをもう少し深掘りしようと思いました。

まずは理由を明確にしたいと思い、娘に「なぜアルバイトをしたいの?」と尋ねました。

娘は「受験を考え始めた頃は、実家から通える大学にする予定だったけど、最近学びたいと思う分野ができたんだ。その分野を学ぶことができる大学は、実家からは遠くて通うことができない。だから、一人暮らしをしなきゃいけないよね。突然、行きたい大学を変更しちゃったこともあるし、せめて引っ越し費用くらいは自分で貯めたいと思ったんだ…。だから私はアルバイトをしたいの。」と、素直に答えてくれました。

やはり、ただアルバイトをしたいという単純な理由ではなく、大学受験に関わる明確な意思がありました。私は、その理由であればそのまま答えても良いのではないかと思いました。

自己一致

カウンセラーの心得のひとつとして「自己一致が大切である」とあります。
自己一致とは簡単にいうと「自分の思っていることと、言動が一致している」ということです。

これはカウンセラーだけに限った話ではなく、自分の意思と言動に乖離があればあるほど、その矛盾に耐えられず精神的にツラくなってしまうことがあります。
たとえ面接だとしても、しっかりとした想いや意思があるのならそのままの想いを伝えた方が良いと思い、娘にもそう伝えました。

面接は事前に色々と志望動機や自己PRなどを練ってから挑むことが多いと思うのですが、その事前に練っていることと自分の想いが一致していることがとても重要なことだと思います。

面接官もプロ

娘は「学校には面接の指導をしてくれる先生がいて、私はその先生が言っている通りに作るのが良いと思う。面接指導のプロってことだから、プロのアドバイスは聞いた方が良いよね」というので、面接する人もプロであることを忘れてはいけないよと伝えました。

面接官が志望動機をみて、作り込んだ内容だなと思わないと思う?志望動機は学校で指導されて作り込まれていることは、大学の面接官も知っているよね?もし、あなたが(娘が)面接官なら、その志望動機を読んでどう思う?と聞くと即答で「疑う」という言葉が返ってきました。

疑うということは、その志望動機が本当なのかと探るよね。志望動機が本当かということを探るために色々な質問をなげかけてくるよね。しかも、面接官は疑って質問を投げかけてくるわけだから、想定していないような内容を考えて質問してくることが考えられるよね。

この時に、自分の想いが入っていない内容だと嘘だなと感じ取られてしまうのではないかな?と伝えました。娘は確かに・・・と黙ってしまいましたが、娘が今回言った「一人暮らしの引っ越し費用は貯めたいと思っている」というのは、本当の想いだと思うので色々な角度から質問が来ても素直に答えることが出来ると私は思いました。

嘘で作り込んでしまうと、質問の回答のために嘘を塗り重ねてしまうことに繋がるので、どんどんつじつまが合わなくなってしまい、最終的に自分を追い込んでしまう可能性が高くなるかなと思たので、今回は伝えることにしました。大切だから伝えようと思ったのも事実なのですが、娘が大学を受験するという年齢になったので、私が娘に直接教えることは少ないなと思っていたので、今回伝えた「自己一致」ということがもしかしたら私が娘に直接教える最後のことなのかなとも感じてしまい、つい熱量が入ってしまいました。

相談内容にも多い「面接がうまくいかない」

今回は娘の大学受験を例にしましたが、カウンセリングでの相談内容にも「面接で上手くいかない」とお悩みの方が多くいらっしゃいます。

面接のために練っていたた内容が、面接官の質問に答えていくうちにつじつまが合わなくなってしまうというケースが多いような気がします。

つい、みんながしていることに合わせたくなるのが普通だと思うのですが、

現在は「個性」を大切に考える時代になっていると思います。
そんな「個性」を大切にする時代に、周りと同じというのは「個性」に蓋をかぶせているのと同じかもしれません。

志望動機や面接にフォーマットはあったとしても、そこに自分をしっかり表現するのではなく、作り込んだ自分を載せてしまうと面接でつじつまが合わなくなってしまい、うまく受け答えすることができなくなってしまうのではないかと思います。

「ありのままの自分を表現したら採用されない」ということも、現実問題としてあるかもしれません。
ただ、自分を作り込んで入った場合は、例え採用されたとしても人事の方や周りが思う印象と本当の自分との違いにストレスが多くかかってしまうことがあるので、就職の場合などはどのように自分を表現してわかってもらうかという部分も考えながら進めていく必要性があるかもしれません。

もし、就職などの面接で自信をなくしてしまったり、自己否定に陥ってしまった場合はカウンセリングもご検討頂けると良いかなと思います。

カウンセリングでは、自分を知るという部分でお手伝いすることが出来るのではないかと考えています。志望動機や自己PRに自分を表現することで、面接などのお手伝いが出来たらなと考えています。

私たちのカウンセリングでは、本来は「心のケア」という部分をメインにしていますが、自己肯定感を高めていくという部分で、自分の強みを知っていくことも行っていきます。その強みを志望動機や自己PRに表現することが出来れば、相手に自分を知ってもらう可能性が上がるかなと思っております。

私たちの提供するカウンセリングとは、少し違う角度になりますがカウンセリングにはこのような使い方もありますので、ご検討頂けたらと思っております。

娘の「大学の志望動機」という内容から、色々と脱線してしまったブログとなってしまいましたが、これもまた自分の想いかなと思ったので、そのままブログ投稿させて頂きました。

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